人吉海軍航空隊基地跡のご紹介①
平成27年、8月から9月にかけて町内で行いました町政座談会の資料を動画化したものです。
音声がありませんので、下記のテキストを追いながらご鑑賞ください。
動画のリンク https://youtu.be/19NA3RgdS7I
マンガ編はこちら
説明テキスト
☆
さて、今年は戦後70年です。
テレビ局や新聞社では戦後70年として様々な企画が実施されています。このなかで、錦町木上にある防空壕が注目を集めました。
集中した場所に、総延長が数キロ、総面積は約36,000㎡。これは町民グランドの約1.5倍におよぶ広さです。
なぜ、この規模の防空壕が必要だったのでしょうか。
今日は、プロジェクトで調査を進めていることについてお話しします。
☆
お話しする、人吉海軍航空隊が活動した期間はわずか、1年9か月間、大変短いものです。
いまから72年前、昭和18年11月に教育航空隊、特攻基地の中継基地として建設が始まり、翌年2月には、人吉海軍航空隊が発足します。
通称、予科練と言われるものです。
昭和20年3月ごろからは、戦局が悪化していきます。
人吉海軍航空隊の当初の目的であった、エンジニア、パイロットの育成は終わりを迎え、いわゆる本土防衛に体制が移っていきます。
そのなかで、建設が始まったのが地下施設と呼ばれるものです。
☆
地下施設の前に、地上の施設を見てみます。
現在の人吉農芸学院と新立には、当時の隊門が残っています。
☆
次に上空から見てみます。当時の航空写真です。
画面、左上が川辺川、右下が球磨川
十日市、農芸学院へ続く道が見えます。
白く見えるのが滑走路です。
飛行機の格納庫と 海軍航空隊の宿舎が確認できます。
昭和20年の空襲では、格納庫、兵舎は壊滅的な被害を受けたようです。
☆
ここからが、地下施設のお話です。
当時の防空壕といえば、お隣2、3件で庭に穴を掘ったもの。山が近い場合は、横穴を作られたところもあります。
通常、防空壕のサイズは、数人が入る大きさです。
木上にあるものは、防空壕としては規模が大きすぎるのです。
なぜ、この巨大な穴が必要だったのか。この疑問は、アジア歴史資料センター見つかった、資料で解明されます。
☆
この資料は、戦争が終わったとき、GHQ(連合国軍)に提出された資料です。
地図の右上に人吉海軍地下施設と書いてあります。地図には地区名が書いてあります。
右下の、岩城地区を拡大してみます。
☆
ただの防空壕と思われたものに名称がつけられています。
実は それぞれの穴が 目的 を持って作られた軍事施設という事が分かりました。
☆
軍事施設の種類として
魚雷調整場、無線室、作戦室、発電所、機械工場、自動車工場、弾薬倉庫、施設部倉庫、兵舎、トンネル
このすべては、地下にあります。
☆
それでは 地下施設が各地区にどれほどあるか見てみましょう。エリアを4つに分けます。
☆
由留木、十日市エリア
山下エリア 、迫、野間エリア
荒田、目郎エリア
☆
地下施設を赤線で表示していきます。
由留木、十日市エリアは、最も多くの施設が集中しています。
よく取り上げられる 魚雷調整室、地下作戦室、無線室があります。
☆
山下エリア、平地をつなぐトンネル通路のほか、倉庫群があります。
☆
迫、野間エリア、こちらも通路のほか、機械工場があります。飛行機が翼を外し、格納されていたのを見た、との情報もあります。
☆
荒田、目郎エリア、岩城にある、このもと神社の真下の穴は、自動車工場になります。
☆
このほかにも、農芸学院には、地下発電室などが存在します。
人吉海軍航空隊の歴史は、1年9か月間です。
この短い期間に、これだけの施設を作りました。
このような戦争の施設は「戦跡」と言われます。
これらの戦跡や当時の体験談は、貴重な地域資源です。
調査を行い、語り継ぐ必要があります。
☆
そのため町では、これから測量や情報収集予定しています。
当時の資料、写真、思い出話などありましたらご連絡いただきたいと思います。
連絡先、人吉海軍航空隊についての情報は、広報にしき8月号に掲載していますのでご覧ください。
☆
ご紹介した施設は、崩落個所、足元には瓦礫やガラス片もあります。水による浸食で、通路が狭くなっています。
場所によっては、踏み抜いて転落する可能性があります。
大変危険です。
☆
コウモリもいます。
ゲジゲジもいます。
ヘビもいます。
ほかにも、何か出るかもしれません。
奥に行くと、携帯電話は通じなくなります。まよったら、出られません。
家庭用懐中電灯では、心もとなく怖いです。
子どもならず大人の皆さんも、立ち入らないようにご協力をお願いいたします。
☆
最後になりますが、70年前10歳の方は80歳。
20歳の方は90歳と歳月は進んでいます。
のんびり構えていられません、情報がありましたら。錦町役場教育振興課、企画観光課までご連絡をお願いします。